もう少しだけ旅させて

旅日記、のようなもの(2012-16) 基本一人旅 旅に出てから日本語を使わないので、忘れないように。ほとんど本人の備忘録になりつつあります。情報は旅行時のものです。最近はすっかり懐古モードでひたすらノスタルジーに浸っています。

ニューデリー

インドは変化が少ないのか多いのか判らない。どこからともなく漂ってくる糞尿とお香の混ざったニオイは紛れも無くインドのものであり、これは永遠に変わりようが無い。

コンノートプレイスへ行ってみる。僕が始めてニューデリーに来たのは1999年1月のことだったが、当時のマックは「マクドナルドハンバーガー ファミリーレストラン」という表示そのままに客の半分は地元の裕福そうな家族連れ、もう半分は外国人の旅行者やビジネスマンだった。ドアマンが恭しく扉を開けてくれたと記憶している。翻って2012年10月のマックはおしゃれな内装で金持ちそうな学生のたまり場となっている。ドアマンなどおらず勝手に扉を押して入る。思えば日本のマックもずいぶんと変わったもんだが、ここニューデリーのマックも他国とそう変わらないものとなってしまった。マラッカもKLも、どこでもマックは均質化している。…そんなの当然だろと思うかもしれない。そう当然なのだ。しかしかつてのインドのマックは違った。なんといっても、ハンバーガーの存在証明を切り捨ててまでの出店に驚き(100% non beef の表示!)、やっぱりインドだけは違って当然とみていたからだ。隣国パキスタンのラホール店ですら閑散としたところを除けば当時の日本とさえ雰囲気は似ていた。

そしてスターバックスこそ無いもののオシャレで高価なコーヒーチェーン店が幾つかある。まだまだ暑いニューデリーでは無意識のうちに足が向かい、当地の物価からしては高価なフラッペなどを注文した直後に他に行くところあったんじゃないかと反省する反面、席に落ち着きしばらくすると、これこそ今自分に必要なものなんだなあ、なんて意見はコロッと変わっていたりする。見方を変えれば、外界から隔絶された静かな場所代を払っているということか。だってインドにはそんな場所他に存在しないからある意味貴重だ。そうなのだ、他所ではあまり考えられないことだが、静寂や落ち着きを金を払って買うことができるようになったということなのだろう。この価格はそう思いたい。


耳元でハローとささやかれれば、次に来る言葉はリキシャーかホテル、ガンジャにジキジキと決まっていた。それが今や彼らは追い越し様に自分のモバイルフォンへ話しかけているのである。やっぱり時代は変わった、本当に。


昔の記憶はなるべく脇に除け、今のインドを見よう。そのための再訪なのだと思う。




※追記 チャンドニーチョウクのマクドナルドには「ファミリーレストラン」の表記がありました。ムンバイとか他の町でも基本的にはファミリーレストランのようです。