もう少しだけ旅させて

旅日記、のようなもの(2012-16) 基本一人旅 旅に出てから日本語を使わないので、忘れないように。ほとんど本人の備忘録になりつつあります。情報は旅行時のものです。

ストロベリー・マックシェイク

前回のムンバイ滞在はたった8時間、それも駅周辺での時間つぶしとチケット予約しかしていないのだが、今でも忘れられない記憶である。


  * * *


ムンバイへは、アウランガーバードのユースホステルに泊まっていた日本人のうちの2人と一緒に夜行のスリーパーでやってきた。3人とも別々に駅で予約したはずなのだが何故か連番となっていた。早朝にビクトリア・ターミナスに到着するが、これまた何故か全員ムンバイには興味が無い。1人はその日の便でここから福岡に飛行機で帰国する。1人は夜行でアフマダバードへ行き早くラジャスタンへ抜けたい僕。もう一人はやはり当日のバスでゴア直行の女性。
絵葉書や日記を書いた後は、福岡の人がやることないというので駅で荷物番をしてもらい、僕と女性はそれぞれチケットを入手しに街へ出た。
そして用事は皆済ませたものの陽はまだ高く、旅の話もつきたので駅前のマクドナルドに入った。僕の注文はストロベリー・マックシェイク。それが、意外にもこの味が少し乳くさく、マックは定番商品は全国共通の味のはず(多分…)なのにやっぱりインドは違うのか、という感想を持った。

それは正しく一人の※マックパッカーが誕生した瞬間であった。インドらしく単に原料の配分ミスだったのかもしれないが、偶然も時には必然となることがある。
(※各国でMマークのバーガーショップを見かける度に味を確かめずにはいられないバックパッカー。そういう人種は結構いる模様。)


時間が来て福岡の人を見送った後も、冷房の効いたマックからは出られず僕ら2人は時間をつぶしていた。
実は彼女、僕がその数年前にモノにしようとしてできなかった女性にそっくりなのだ。明らかに別人なのだが、一緒にいる間はずっと重ねてみていた。


それでもいずれ別れの時が来る。見知らぬ者同士がたまたま同じ場所で出会い、時間が来れば別れて各々の次の行く先へ向かう。それだけのことだ。
往来の激しい交差点だった。彼女は片手をあげ一言。

「じゃねっ」

この「じゃねっ」こそ、女性の可憐さと旅人の潔さが絶妙にブレンドされた、今まで交わした別れの挨拶のなかでも最高の部類に入るものだった(と今でも思う)。
僕はといえば、人ごみの中に消えて見えなくなるまで青いバックパックを背負った後姿を眺めていた。
その間彼女は一度も振り向かなかった。

そういうものだ。


  * * *


今日、駅前の同じ店で、ストロベリー・マックシェイクをたのんだところ、何の変哲も無いストロベリー味だった。

それ以外どんな味がするというのだ。