アユタヤという名前だけは山田長政とともに小学生の頃から知っていた。ぜひとも訪れたい場所だったのだが、タイは最初の訪問を除きいずれも短い滞在だったせいか、ついつい行きそびれていた。バンコクから近いし何時でも行くことはできるだろうと後回しにしていた。でも長旅もこれが最後のつもりだし今回逃したらもう一生行けないのではないかとふと思い、日帰りで行くことにした。
往きは早起きして鉄道に乗り込むことにした。そのために駅前の宿に部屋をとった様なものだ。まあいつもの宿でもあるのだが。
バンコク駅(ホアランポーン)は気持ちの良い場所だ。ぼくは大きな街にあるターミナル駅が好きだ。そもそも雑踏に紛れ込むという行為自体が好きだ。理由はわからない。別に何か目的があるわけでも何か考えているわけでもない。一応何かは見ているようだけど。飽きるまで暫くの間歩きまわる。その後どこでもいいから建物内の一角に腰をおろして今度は一点から彼らを観察するのだ。行く人来る人、時間つぶしする人、寝っ転がる人、実に様々な人がここを利用する。暇があると昼夜構わずふらっと訪れてはこのように何をするわけでもなく滞在することが多い。でも今回はうろつきに来たわけではなくちゃんと利用者としてやってきた。初めてだわ(笑)
列車は朝7時発のRapid。2等車に乗る。アユタヤまでは1時間半の道程だが30分遅れた。これは知っておいてよかった。帰国に利用するドンムアン空港へ足の確認も兼ねているので。先日エアアジアの便を予約した。ついに帰国か…
アユタヤの駅を出てまっすぐ進み渡し船で川を渡る。貸自転車屋が多いがもっと中に入ってからにしたかったので、しばらく歩き町中で自転車を借りる。観光地図を一緒に貰い行き先に印を付け計画を立てる。結構広いぞこれは。
仏教寺院といっても様々ですね。まったく、ひとくくりのできない、とりとめの無さだ。今回の旅でもラダック、東チベット、中国、ベトナム…それらを我が日本と比較しても何かが浮かび上がってくるわけではない。仏教という枠内だけなのに多様性とその緩やかな結びつきだけが辛うじてみえるに過ぎない。
遺跡自体は以前訪れたスコタイの方が雰囲気があった。こちらは普通の街の内外に遺跡や寺院が点在している。こういう場所は本当はある程度まとまった時間滞在して(1,2泊か)ゆっくり巡る方が正解だろう。平坦な地形なので自転車も快適に乗り回すことができるが、後になってみれば結局スポットを駆け足でめぐってしまった感が拭えない。有名観光地で観光客が溢れているところなので、これもまあ仕方ないかな。昔の事だがスコタイの遺跡は静かでよかったなーと思い出してついつい比較してしまう。
帰りはミニバンでささっとバンコクまで戻る。中心部の渋滞は相変わらず酷いが、車内は冷房が効いているし、この後予定があるわけでも無いし、何も気に掛けることはない。夕暮れの中せわしなく動きまわるバンコクの人や車をぼうっと眺めながら、自分自身の旅の終わりが間近に迫っていることもまた実感しているのであった。