もう少しだけ旅させて

旅日記、のようなもの(2012-16) 基本一人旅 旅に出てから日本語を使わないので、忘れないように。ほとんど本人の備忘録になりつつあります。情報は旅行時のものです。最近はすっかり懐古モードでひたすらノスタルジーに浸っています。

バンコクをぶらぶら

 

 

バンコクに着いたばかりでホアランポーン近くにある宿を探している時、駅前の雑踏の中で一人の西洋人旅行者に声を掛けられた。

  -----ハロー、去年の10月にパキスタンにいなかった?
  -----去年の10月?確かにパキスタンにはいたけど…(でも相手を思い出せない)
  -----ラホールのホステルで一緒だったドイツ人だけど
  -----ああ、あの宿…、

会話が進んだが実はあまりよく思い出せなかった。確かにラホールのホステルでドミに泊まった時同室にドイツ人が居たことは憶えているが、話をしたり○○をやったのはオージーやチリ人の方だった。彼は真面目に観光していたような気がする。僕の顔を憶えているというので嘘をついているわけではないだろうが何か不思議な感じだ。彼、マルティンはパキの後インド、東南アジア各国を回りバンコクにやってきたという。4ヶ月になるのか。別々の場所を旅して思いもよらないところでばったり再会するということは今まで何度か経験しているが、憶えているのが一方というのは珍しい。不思議な感じだ。

 

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  *

 

駅前は工事中で落ち着かないのでチャルンクルン通りを南に下る。前回は郵便局から荷物を日本に送った記憶がある。こちらの方向だ。途中で脇道に曲がり、雑然とした町の中に入っていく。小さな自動車整備工場や部品屋が立ち並び、地面は油や錆で汚れ金属っぽいにおいが漂っている。どこからか金属を叩く音がカンカンと聞こえてくる。

この辺りの雰囲気をなんとなく好きなのは、始めてバンコクを訪れた時に泊まったリバービューGHという宿がこの先にあり、当時のことが懐かしく思い起こされるからだ。迷路の様に立て込んだ町中にひっそりと埋没しているという言い方が当時は正しかった。旅先で知り合った人に教えてもらったところなのだが、カオサンを直ぐに飽きてしまった当時のぼくにとってはこの近辺の雰囲気は新鮮かつ強い印象を受けた。ごく普通に密度濃く人々の息遣いを感じることができた。旅の初心者だった時分で観光地ではない普通に営まれる人々の生活の空気に魅力を感じ始めていたのだ(そのうちいきなりそんな所に足を踏み込むようになる)。

時は流れそのリバービューもきれいに改装され外から覗く限りでは当時の感じは見受けられない。まあ、そういうものだろう。TT2はともかく今あるホステル達なんて当時からみれば本当に綺麗な安宿であることを考えれば、必然の変化なのだろう。

 

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この辺りはチャイナタウンのはずれにあたり、露地の突き当たりにいつも訪れる小さな廟がある。今回もふらっと訪れる。チャオプラヤ川の畔にあるので空は広い。やっぱり誰もいない。でも掃除は行き届き地元の人に丁寧に扱われているのがわかる。時々ボートが走ってゆく音が聞こえる。長閑で静かだ。

 

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f:id:pelmeni:20160701235547j:plain露地の入口にある看板

f:id:pelmeni:20160701235557j:plain街歩きで猫歩き いい子だね~

 

 

少し歩くと小さな市場地帯があり、その一角にある店で食事をする。ぶっかけ飯とコーラ。暑いバンコクいつもの昼飯。すぐ先にはロイヤルオーキッド・シェラトンがありこの近辺は別世界だ。でもそこだけが別世界なわけで、前を通り過ぎ少しだけ歩いて気がつけば、再びいつもの平常運転のバンコクの真っ只中にいる。

 

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