もう少しだけ旅させて

旅日記、のようなもの(2012-16) 基本一人旅 旅に出てから日本語を使わないので、忘れないように。ほとんど本人の備忘録になりつつあります。情報は旅行時のものです。最近はすっかり懐古モードでひたすらノスタルジーに浸っています。

赤いケララ

ケララ州はコミュニストが政権を担っている州です。そして世界で最初に民主的な選挙によりコミュニストが選ばれたところです。以下ロンプラより抄訳。


ケララの民主主義と共産主義の融合政策は特筆すべき成果をあげている。土地を整備しインフラと健康と教育に焦点をあてた政策によりケララはもっとも社会的に進んだ州となった。識字率91%は先進国並みで、芸術や教育を重んじてきた昔からの伝統によるもの。乳幼児死亡率はインド平均の1/5で、平均寿命は他の州より10歳以上長い。ただし全てがバラ色なわけではない。何れの産業の発展も外国からの投資も無いため、教育を受けた若者の将来が奪われている。最も高い自殺率とアル中の数もそのせいかもしれない。ただ近年の観光ブームはケララ経済の明るい期待だ。数多くのホットスポットがある。だから旅行者の来訪は経済問題の解決として感謝され喜ばれるのだ。
また、中東への出稼による送金もケララ経済の一翼を担っている。


どう、興味深いでしょう。
言われてみれば確かにそうだ。バスはぼろいけどサービス自体は行き届いているし道路の状態も良い方だ。街にもよるが、町中に新しい標識は多く通りの名前の表記も結構ある。時々「ドバイ」とか「ガルフ」の文字を商店の看板に見掛ける。散策途中に見掛ける学校や制服姿の子供達も他と比べて多い。元気なお年寄りも町中に多いし、そういえば他所で道端によく見掛ける不具の人や物乞いは比較的少ない。人々がみな穏やかで優しく対応してくれることも、単に珍しいあるいは金目の外国人相手だからというだけでなく、人としてできているのではないか?と思わせる程だ。

育った環境が違うということだろうか。

道路に吹き溜まっているゴミも比較的少なく安心して歩くことができる。ちょっと停電は多いけどね、大目に見よう、インドだから。

どこかの誰か、ケララに投資しなよ。


それはそうと、西洋人の団体客やカップルばっかりだなあ。かつての訪問時の印象から、インドって有名観光地を除いてそういう場所ではないのではと思っていたが、何か今回の旅では、特にケララ州に入ってそのことは強く感じるようになった。元々観光に適した場所ではあったのだが、更に施設を整え快適な宿泊施設も数多く建設する。そして彼らは大挙して訪れ、ケララのために金を落として足早に去ってゆく。それも、良いことなのだろう。
もちろん外国人だけではない、インド人もやってくる。

ふーん。
たいして金を使わない僕が、あれこれ言う事ではないようだ。



   *


ちょうど滞在時に公式のカンファレンスの開催が重なったようで、どこも町中が真っ赤に染まっています。エルナクラムで、何とオートリキシャーの運転手がストライキをしていてほとんど走っていなかったのも、関係あるのかな。



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アラプーザにて。 "ALL INDIA UTUC"  UTUCは "United Trade Union India" の略。インド統一労働組合とでもいうもの。飾り付けがなんだかお祭りっぽく見えてしまうのは気のせいか、それともそういう意図もあるのだろうか。



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コーラムにて。バススタンドからしてこれだから、もう。



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コータヤムにて。すごいねまったく、知らないでいるとちょっと驚くかもしれない。CITUも同じようなもの。 おなじみのハンマーと鎌印に加え、マルクスエンゲルストロッキースターリンまで!! こぶしは強固な意志とか武力の象徴、こんな表現は前世紀の遺物かと思っていたけど、いまだ健在ですか…

共産主義がほとんど過去のものとなった現在、それでも南インドのように限られた地域で一定の成果と評価を得られていることは、それほど不思議なことではないのかもしれない。日本において共産党のほうが生活に密着した町の意見(例えば駅の反対側にも改札をつくれとか新しいバス路線を早く運行しろとか)を聞いてくれるのと同じように、規模や現状次第ではまだ有効な思想なのだろう。でも元々そんなものだったのか?

次のカンファレンスは来年の5月だそうです。