もう少しだけ旅させて

旅日記、のようなもの(2012-16) 基本一人旅 旅に出てから日本語を使わないので、忘れないように。ほとんど本人の備忘録になりつつあります。情報は旅行時のものです。最近はすっかり懐古モードでひたすらノスタルジーに浸っています。

麦積山石窟

天水 麦積山石窟  Tianshui  MaijiShan Grottoes

 

 

 

 

f:id:pelmeni:20151222192418j:plain

麦積山のことは中国を旅行しようという意識が生まれるずっと前から知っていた。ソ連崩壊後の混乱を経てようやく落ち着いた頃の中央アジアとその周辺を旅した二人の旅行者が出版した本(ガイドブック)を以前に入手したのだが、その本に載っていた写真の中にこのキャットウォークが張り巡らされた崖の写真があった。もう15年以上も前のことである。ただ当時はこんなに世界各地を旅行することになるとは思っていなかった。中国の旅行にも今ほど関心はなく、自分が訪れることなど夢にも思わなかったものの、その特異な情景はあまりに印象的でずっと忘れずに頭の片隅に残っていた。

 

 

朝早目に西安を列車で発ったので昼には天水に到着。この街には泊まらずに夜行で張掖に向かうので、まずはバックパックを行李寄存に預け牛肉面で腹ごしらえ。そして駅前広場の一角にある乗場から公交34路バスで麦積山へ向かう(約50分、5元、頻発)。入口から石窟までは結構離れていて小型バスが往復している。

途中で英語を少し話す杜クンという若者(多分)と知り合い一緒にここをまわることになった。

彼によると中国の観光地は星(A)の数でランク付けされており、四つ星はそれ程のものではないが最高級の五つ星はどこも素晴らしいとのことである。ちなみに麦積山石窟は五つ星である。あまり有名ではないのでまさかとは思ったが門票を見ると確かに星が五つあった。

 

 

f:id:pelmeni:20151222192454j:plain

f:id:pelmeni:20151222192510j:plain

 

観光客が巡るキャットウォークの様な通路はコンクリートと鋼でできている。下から見上げると木材の組合せにも見えたのだが、そんな心許ない材を一般客が自由に歩き回る所に使うはずがない。もっともここを歩いている最中には足下が何の材料でできているかなどと考える余裕も無い。

 

驚いたことには岩肌は素ではなくコンクリートを吹きつけ固めてある。土色に見えるのは塗装されている色なのである。触ってみて初めて判った。写真を見ても違和感は無いし、漠然と眺めているだけでは判らなかったかもしれない。とはいえこの場所の価値が下がるものでもないだろうが少しがっかり。

 

それにしてもすごい場所だ。杜クンと一緒に少々はしゃぎまわる。昔の人はクレイジーだ。何にとり憑かれそこまで苦労してこんな場所に仏像を彫り続けたのだろう。簡単には答えの出ない問いに頭を悩まし続ける。正に、この場で。これも旅の楽しみ。

 

f:id:pelmeni:20151222192552j:plain f:id:pelmeni:20151222192616j:plain