もう少しだけ旅させて

旅日記、のようなもの(2012-16) 基本一人旅 旅に出てから日本語を使わないので、忘れないように。ほとんど本人の備忘録になりつつあります。情報は旅行時のものです。最近はすっかり懐古モードでひたすらノスタルジーに浸っています。

ラオカイから入国/ベトナム北部ぐるぐる

ベトナム北部

 

 

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河口/ラオカイの国境を徒歩で渡りベトナムに入国。久しぶりの新規の入国、通算101番目の国と地域だ。

市バスで鉄道駅まで行き、駅前から別のバスに乗り替えサパへ行く。このバスは2系統(01,02)あり少し待てばどちらかがやってくるのだが、乗場が微妙に離れている。01は駅舎前からの始発だが、02は街の外にある新バスターミナル発。広場の道路側に乗場があり、客が居なければサッと行ってしまうから注意だ。山道を1時間半走りサパの町の中心へ。料金はつい最近30,000VNDに値上げされたようだが私営バスよりはまだまだ安い。

サパの町は霧雨が降っていて大分寒い。宿を決めた後暗くなりかけた町に出て歩いてみるが、白人の観光客とそれに群がる少数民族の衣装を身に纏った女性が多い。中国系の観光客もいるがあまり相手にされていないようにみえる。もちろんぼくもそっちの方だ。(1/12)

 

 

朝、町中の市場を訪れて移転したことを知る。建物は解体され始めている。跡地は何になるのだろう。移転先は表示されているが、ホテルに戻り受付で移転先を確認をしてから地図を貰いそちらに向かう。30分くらい歩いて到着。新しい市場ってたいていガランとして味気ないものだが、ここもそうだった。2階もある建物の中には服飾、雑貨、工芸品の店が入っているものの、まだ半分くらいしか埋まっていない。食堂を抜けると半屋外の生鮮食料品り場。近くの少数民族の村々から市場にやって来る人は主に野菜や果物、手工芸品を売りに来る。野菜等の売り手は新たな市場周りに移ってきたが、手工芸品の売り手は観光客相手なのでこちらではなく町中の一角の路上に集まっている。そのため綺麗な衣装を着た少数民族の人たちは分散してしまい何だか散漫な感じだった。サパの町は平日は少数民族の人を見に来るところのような雰囲気はない。このことを事前に知っていたらサパにはおそらく来なかっただろう。今回はトレッキングに行くつもりはないので。トレッキングの基地としては相変わらず重要な町だ。

午後から近くのカットカット村に歩いて行く。途中で手工芸品の売り子に纏わり付かれる。さすがにカットカットへ行く人間はアジア人でも観光客だから飛びついてきたのだろう。歩きながらずっと話をしていて全く買うツモリは無かったが、結構距離があり段々面倒な気持ちになって一番安いものを買ってしまった。金を受け取ったら彼女はすぐに踵を返してサパに戻っていった。そういうものだ。谷の中にある村を見下ろす風景はきれいだった。段々畑や山の景色。滝もあるがそういうものはあまり好きではない。観光コースを歩かされている感もある。勝手に奥の方に行けば良かったのだが、疲労を感じたので一通り回った後は切り上げてサパに戻ってきてしまう。暗くなった町に夕食に出たが、霧が濃い。夜の町を少し散策した。中心の公園には地元の人が集まってめいめいが楽しんでいるようだが、通りを歩いているのは白人観光客ばかりで度々此処は何処?という気分に陥る。(1/13)

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移動日。手摺に前夜に掛けておいた洗濯物は夜間から降り始めた小雨によりじっとり湿っている。わざわざ外に出したのが仇となってしまった。朝からこれは幸先が悪い。

今日はハジャンに行くのだ。パキスタンフンザで会ったアメリカ人の旅行者ジェイソンから教えてもらった所だ。ラオカイから山沿いにサパとは反対の方向に行くと少数民族を見に行くにはとてもよい場所があるという。ただ、日本のガイドブックには載っていないが英語の奴には紹介されているので普通に西洋人観光客はいるようだ。ラオカイ方面からは道が悪いがハノイからは1時間おき位にバスが出ているので特段珍しい場所でもない。今日はハジャンまで行き、翌日ドンバンへ移動しサンデーマーケットを訪れる予定でいた。

なのに!

ラオカイからバスに乗って4時間位たったところで突然すぅっと気付いた。朝のチェックアウト時に預けていたパスポートを返してもらうのを忘れていたのだ!!!何たる失策!旅先にて最大級の大ポカだ。何も言わなかったホテルを責めてもしょうがない。自分が忘れたのが何より悪いのだ。このバスを途中下車してラオカイに戻ることは時間的に不可能だ。ハジャンに一泊して翌朝一番でとんぼ返りだ。ドンバンのマーケットにはもう間に合わない。ベトナム北部で1週間さらに時間つぶししたら今度は南部を回ることはできないだろう。予定の変更をするしかない。その後はただひたすら時間が過ぎるのを待つだけ。7時間のバス旅を終え既に暗いハジャンのバスターミナル。翌朝のラオカイ行きのバスを聞き、近くの安宿に部屋を決める。安くて広くてそこそこ清潔。なのに気分は晴れない。当然だ。夕食に適当な店に入って適当に頼んだら大量の料理が出てきて驚いた。それでも300円くらい。(1/14)

 

 

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 朝6時半発のバスで昨日と同じ道をラオカイへ戻る。眠かったし何も考えたくなかった。途中40分もの長い休憩が2回もあり計7時間半もかかった。バスターミナルから出ることなくバスを乗換えすぐにサパへ戻り、パスポートは無事回収。まずは一安心、でも残念さは暫くの間消えることはないだろう。近場に市がたつ場所をあらためて調べ、バクハーのサンデーマーケットを訪れることにした。有名な所だけに敬遠していたのだが、これも何かの縁と思うことにした。そこで今日のうちにラオカイに戻るべく出発直前のバスに飛び込んだ。取り敢えず一番早い車に乗り継ぐ移動だけの一日だった。

このバスは出発してすぐに音楽を流し始めた。ふと顔を上げると運転席上のモニターには映像が流れている。映っている女の子はベトナム人っぽくなく日本のグラビアアイドルのDVDみたいでなんか音楽には合わないなあと思っていたが、よく見ればそれもそのはず、映っていた水着の女の子は倉科カナだった(笑)。日本で昔流行ったムード歌謡の様なベトナムの(多分)ポップミュージックは何だか暗くてねっとりしていて、その背景でカナが水着で寝転んだりビーチバレーしたりしている。それはあまりにシュールな光景で歳甲斐もなくドキドキしてしまったが、あたりを見回しても地元の客でその映像を見ている人は誰もいない。食い入るように見つめているのはこの日本人ひとりだけ。確かに「Beach Angels」というタイトルが流れ、懐かしかったり何だったり…。

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再びラオカイに着いたのが日没近くだったのでガイドブックに乗っている駅前にある宿に泊まろうとしたが、成り行きで隣の宿にチェックインしてしまった。そちらの宿の親父が高雄出身の台湾人で、前を通ったぼくに日本語で話しかけてきた。片言ではあるが話はできた。何でも彼の兄は九州に住んでいて「日本人になった」そうだ。聞き間違えかと思ったが有り得ない話ではないとも思った。この宿自体は安いだけで大したことなく部屋もしょぼかったが、一晩だけで早朝出発だし、親切にも食事処や翌朝のバクハー行きのバスについても教えてくれたのでここに決めてしまった。窓の無い奥の部屋だが、他に泊り客は居なかったので表側の部屋に勝手に入って、駅前広場を見下ろすバルコニーで煙草を吸って暫くの間佇んでいた。今日もまた長い一日だった。(1/15)