オールドラホールの昼と夜
オールド・ラホールほど自分にとって街歩きの楽しい場所は無い。
もちろんこれは僕の方が特殊な訳であって、大抵の人にとっては疲れるとか面倒とか歩きにくいとか、とにかく不快に感じるのではないかと思う。
でも、写真を見返し再確認したが、これだけの大量の情報が一気に視界に入り知覚情報としてインプットされ、それが歩いている限りずっと続くのだ。気分は高揚し、時を忘れて彷徨い続けること暫しの間。またそうするに相応しく路は右へ左へと曲がり続けると同時に無数の脇道や路地と交差し、どうやっても自分の居る場所に対する認識は不可能となる。つまるところ、細かい事等どうでもいいから適当に歩き続けろや、いずれ何処かに出るだろう、ということだ。確かに数十分後にこの迷宮彷徨は終わりを告げる。そして今居るところが何処なのか、暫くの間多少困惑しながら考えることになる。その際スマホのGPS機能を使って…なんていう野暮なことはナシだ。
夜は夜でまた魅力的な顔をみせる。乏しい光の下で余計なものは闇の中に消え去り、本当に見たい物のみが優しく浮かび上がる。元来人懐っこい人々はさらに気が良くなり、格好の喋り相手になった。