トルコ1>トルコ東部 Aug. 2005
国境ートラブゾン、スメラ修道院ーカルス、アニ遺跡ードウバヤズットーヴァンーディヤルバクル、ハザンケイフ、マルディンーシャンルウルファ、ハランーアマスヤーアンカラーサフランボルーブルサーイズミール、エフェスーコンヤーアンタクヤー国境
(経路上の時間は参考にしないでください)
黒海沿いのサルプというポイントからトルコに入国しました。先を急ぐウッチーとはトラブゾンで別れ、気ままな一人旅の再開です。
実は、アルメニアで一緒だったフランソワが往きに使ったトルコのガイドブックを帰り際に僕に貸してくれたので、それを活用するためにもある程度まとまった時間を使ってトルコを一周することに決めました。ただ、前回旅行時に滞在したカッパドキアとイスタンブールは除くことにしました。トルコ旅行の目玉、というかほとんどの人が集中するであろうこの場所を省いて1か月も旅するなんて物好きは、変人の多いバックパッカーでもあまりいないのかも。
国境から乗るバスにして違います。大きさは小振りなものの、新しくて燃費が良さそうな車は、道路の舗装の良さも相まって気持ち良く進みます。車掌も甲斐甲斐しく働き、さらには陽気です。 何処にも問題は無く心に引っ掛かりの無い旅は本来ならば歓迎すべきなのでしょうが、僕は天邪鬼なのでその点に関しては物足りないです。でもまあ素直にみれば、日々の営みや生活が計画のもとに統制された共産主義から離れるも未だ混乱の残る地域から、自由な商業活動を背景に活気のある都市生活を文明として育んできたイスラムにようこそ!と迎え入れられたような気分になりました。
町に出て、広場からとりあえずは人の出足の多い方へ歩いてみる。あらわれたのはモスクとその周りにひろがるバザール。人や物、情報にあふれた活気のあるエリアの中に、気づいた時には既に足を踏入れていました。静謐と喧噪、聖と俗が交じり合う独特の混濁空間。今までは無意識に押さえてきた感情が開放され、久しく感じて来なかった種類の高揚感を感じました。これ以前もこれ以降も、迷い込んではしばしの間時を忘れて彷徨を楽しむイスラムの町のつくりは何処も基本的に似ています。この旅でも以降数か月の間ひたすら続きます。
ここトラブゾンも、バザールの細い道を行き交う買物客が途切れることはなく、彼らに混じって飽きずにずっと歩きました。時々顔を見せるモスクのドームやミナレットが良い感じのアクセントで視界に入ります。いやこういうところ大好き。
港町で近代的な港湾の眺めもありますし、ビザンチン様式の教会アヤソフィア、旧市街の城壁や城門も残っています。食べ物も美味しいし良い所です。
スメラ修道院
断崖の中程に抱かれるように建ち、現在の名目は博物館として保存されています。キリスト教の修道院は俗世との交流を絶ち人里を離れて修行を行う地を求めたので、後世の旅行者は一苦労です。聖書の物語がフレスコ画によって表現されています。ルーマニアのモルダヴィア北部にある有名な修道院と似た感じで、鮮やかな色彩が印象的です。なかなか神秘的な場所です。トラブゾンから日帰りで。
夜行バスで朝早くカルスに着きました。この街へは近くのアニ遺跡に行くために寄りました。まずツーリストオフィスに行くと遺跡の入場パーミッションは必要なくなったとのことで 、天気も良いことだし(ここでは重要)気が急いでしまいタクシーをひろって直行してしまいました。実はこれは失敗で、この街ではホテルに泊まると必ず安いツアーの勧誘があるのでした。何人かまとめて運ぶので一人で行くよりは車代がかなり安くなるということです。
アニ遺跡
10-11世紀に栄えたアルメニア王国の首都。何か強い感銘を受けたというわけでもないのですが、気がつけば独特な喪失感のような感情が心に響いていました。兵どもが夢のあと、です。アルメニアとは僕にとって旅行の間は微妙に感傷的な響きをもつ言葉になっていました。遺跡といっても敷地があまりに広くて2-3時間ではすべて歩き回る事ができないほどです。在りし日の古い都を想像するのもよいですが、残っている教会や建物の残骸が離れ離れになり過ぎていて、ほとんどの時間を草むらの中をひたすら歩き回ることに費やしてしまうかも? 寂寞さを感じられる場所は此処を最後にしばらくの間ありませんでした。
この中で、トビリシでお会いした世界全ヵ国征服氏に再会しました。2度あることは本当に3度あるもので、この後に訪れた町の宿で氏とは隣室になりました。
お次はイラン国境近くの町ドウバヤズットへ。カルスからはウードゥルという町でミニバスを乗り継ぎ到着。トルコではミニバンやミニバスは「ドルムシュ」と呼ばれています。昼過ぎに宿決め、その後町を見下ろす山腹に建つイサクパシャサラユを見学。そして宿に帰れば世界征服氏。移動を含めて無駄のない完璧な1日。こういう日がたまにあると気分が良いです。
思えば前回(この5年前)、国境から到着後に直ぐにオトガル(バスターミナル)へバスの出発時間を確認に訪れたところ、ちょうど動き始めた車が乗りたかった行先だったので何も見ずに飛び乗ってしまった。以来気にはなっていましたがようやく再訪です。でもちょっと冷めた感じだった気がします。時間があき過ぎてしまった感は否めません。
イサクパシャ・サラユ
かつて同地を治めていた領主イサク=パシャの宮殿
ヴァン
ヴァン湖に浮かぶアクダマル島のアルメニア教会が有名です。でも行ってみると、肝心の建物自体が修復中で囲いに覆われ中に入ることすらできなかったのです。Shock! Shock! Shock! 同じくがっかりしていたディヤルバクルから来た若者3人と適当に時間を潰してから帰りました。これなら有名なヴァン猫の研究センターにでも行った方が良かった(笑)と思いましたが、当日の夜行バスに乗る予定だったのでその後に行く時間も無かったです。
現地で買った絵葉書の方が良い写真ですね
カルス → ウードゥル → ドウバヤズット → ヴァン とトルコの東の一番縁の部分を移動したことになります。さらに縁の部分を進みます。